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20〜30代になって恋愛・結婚できない男女を「だらしない」「恋愛力がない」と一律に非難する。
日本の大人は、なんと身勝手なことか!男女の出会い系システム、それに欧米のプロムとて、若者を野放しにするイベントではない。
それを「危険なイベント」と捉えるのは、おそらく次のようなイメージから。
学校の講堂などで行われる一次会(パーティ)が終わった後、誰かの家になだれ込んで、肉食系のお祭り騒ぎ。
『J』のようなホラー映画では、お祭り騒ぎの男女がいちゃいちゃしてると決まって、殺りく者のジェイソンが現れる。
ああいったシーンが、われわれに「野放し」「危険」と印象づけるのだろう。
だが現実には、プロムは若者だけのイベントではない。
むしろ親や地域が積極的に関わり、彼らの交際を奨励する一方で、その行動を管理する催しのようなのだ。
都市研究センターに所属するH氏は、同センターが発行する『アーバンスタディ』(07年5月発行)にて、「カップル減少社会」と街づくりとの関わりについて述べた。
そこに、興味深い一説がある。
プロムに誰と参加するか、そもそも参加できるかに関しては親や学校、そして地域が高い関心を寄せる。
プロムの準備や後片付けには、生徒の父兄や地域コミュニティも参加する。
カップル成立は本人のみならず家族や地域からも期待されているのだ。
先ほども例に挙げたファッション誌の『S』や『T』のプロム特集号を見ると、男性は「一緒にプロムに行こう」と女性の家に誘いに行った際、その女性の家族と共に食卓を囲むこともあるらしい。
場合によっては彼も一緒に、一家との記念写真におさまることもある、とのこと。
H氏の説明どおりだ。
一見すると若者同士の自由恋愛の場に見えるプロムだが、実は若い男女やカップル2人だけのものではない。
彼らの親や、地域の住民までもが「あの子は誰と行くのか」と注目し、お似合いのカップルとなれば家や町(村)をあげて歓迎する。
多少語弊はあるが、日本のかつての“祭り”や“夜這い”と同じ。
大人達が地域ぐるみで管理する、男女の出会い系システムだ。
大人がここまで後押しするからこそ、アメリカでは若い男女の出会いや交際機会も多いのだろう。
他方フランスでも、大人がお膳立てする出会いが多いことが分かった。
事実婚が非常に多いため、婚姻率は4.4%と日本(5.7%)より低水準。
だが婚外子が約5割を占めることを考えると、適齢期で結婚同然の状態にいるカップルは、決して少なくないようだ。
ただ、20代で交際経験がない男女は、予想以上に多い。
男性で17%、女性で13%だ。
それが30代に入ると、男女ともに4%前後と、一挙に「交際経験アリ」が増える。
ではフランス人の男女は、30歳前後に、どこで出会っているのか?
先ほど「フランスは、平等主義が根付いた社会だ」と書いたが、こと結婚については、いまだに“階級(階層)社会”であるらしい。
出会いの場は階級によって大きく異なり、上層階級にいくほどシステム化された出会いが多いようだ。
一般層は「職場」や「学校などの生活圏内」での出会いが約37%と、ダントツのトップだが、エリート層では大学や友人、地域によるパーティでの出会いが1位。
さらにリッチな特権階級の男女であれば、「親がお膳立てする出会い」が圧倒的多数となる。
学生時代に男女どちらかの親(おもに父親)が紹介し、そこで出会うケースが突出して多いのだ。
フランスでは、いまだに良縁が出世のカギを握るからだ、とも言われている(05年内閣府「少子化社会に関する国際意識調査」ほか)。
上司や先輩も、国も社会もアテにならない日本も、昔はそうだった。
既述のとおり、親戚、あるいは職場の上司や先輩が、これと思う男女を紹介してくれるのが常だった。
いわゆる政略結婚の名残だろう。
大企業ならなおさらだ。
A社の社内、あるいは得意先に父親が勤めていれば、娘もA社にコネで採用される。
そこで父親か上司が「いい縁談がある」と話をもってきて、娘もA社の社員と結婚する。
結果的に、2世代、3世代が一丸となって“A社ファミリー”を形成していく、といった具合。
私の周りにも大勢いた。
決して太古の話ではない。
つい15年ほど前、恋愛が結婚の延長線上にあった頃までの出来事だ。
でもいまや、多くの会社で“世話焼きオジサン(オバサン)”は姿を消した。
未来のお嫁さん候補として採用される女性も、極端に減った。
各国に比べると職場での出会いは遥かに多いが(日本は3割強、欧米各国は1割程度)、それでも上司や先輩はもう頼りにならない。
国や社会も、これといって何もしてくれない。
同じアジアでもシンガポールは、84年の段階で、すでに国が公的な結婚仲介センター「SDU」を設立。
以来、婚活めいたイベントを多数開催したり、異性との接し方が分からない若者に向けてデートマニュアルを用意したり、と着々とサポート体制を整えてきた。
でも日本は国単位では、何もしていないに等しい。
婚外子を保障する制度もないし、同棲だっていまだに「結婚前の男女が、けしからん」と見られる風潮がある。
フリーター同士の男女が衝動的なバーニング恋愛で“でき婚”しても、助けてくれるのは両親ぐらいだ。
カトリックの伝統が根強いイタリアのように「離婚しにくい」わけではないが、それでも結婚カップルの2組に1組以上が離婚するロシアやアメリカほど、“別れる自由”が保障されているわけでもない。
だからこそ、結婚に慎重になる男女も多い。
だいたい、恋愛の概念もハッキリしない。
10代までは「恋愛なんて」と非難するクセに、20〜30代になった途端、「結婚はまだか」「早く子どもを産め」となじる。
若者が「恋愛より楽しいことがある」と言えば、「何をバカな」「若いクセに情けない」と、真っ向から批判。
草食系男子が「カノジョとのエッチには、あまり興味がない」と言おうものなら、「男のクセに、どこかおかしいんじゃないのか」と言わんばかりに噛み付く。
そして自慢げに言う。
「恋愛はいいもんだぞ」と。
「結婚なんて、勢いでするもんだ」「頭で考えすぎるから結婚できない、なりふり構わず衝動的にいけ」と。
その割には結婚後、男女ともに伴侶の悪口を言ったりする。
妻は「うちの夫なんて、外で何やってるか分かったもんじゃない」と批判し、夫は「女房なんて、女じゃない。
そこへいくと六本木の○○チャン(水商売の若い女性)は〜」とふざける。
しかも1年に14%もの男性が、いまだに買春という名の“ゼロ恋愛エッチ”に身を投じている。
すべて“男の付き合い”や“主婦としての照れ隠し”かもしれない。
でも、独身の部下や後輩はちゃんと見聞きしている。
そして私に、こう言うのだ。
「結婚がイヤなわけじゃないけど、既婚者を見てるとそのメリットを感じない」と。
「いくら大恋愛したって、結婚したら一気に冷めちゃうんでしょ。
それぐらいなら、恋愛は“後づけ”で、効率よく婚活したほうがいいや」と。
結婚が大恋愛と結びついたのは、つい最近のこと。
それとて、90年代後半にはムリが生じていた、と書いた。
結婚や離婚が、景気と見事に連動する様もご紹介した。
不況下では、「3高」より「3低」。
結婚は恋愛と違って“システム”であることも、お分かりいただけたろう。
生理学的・心理学的に見ても、大恋愛は長続きしない。
脳科学上では3年しかもたないし、男性の生殖本能で言えば、賞味期限は半年。
“結婚につながる恋愛”を考えても、衝動的な大恋愛よりは身近な“エコ恋愛”のほうが、確率が高そうだ。
男らしさの概念喪失と並行して、男性を決定づける精子やDNAも、危機的状況に瀕している。
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